映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ある子供」監督ジャン=ピェール&リユック・ダルデンヌ at 109シネマズHAT神戸

昨年度カンヌ映画祭パルム・ドール(最高賞)受賞作品。
現代のベルギー、川沿いの穴蔵のような部屋に住む男。中学生くらいの子供にかっぱらいをやらせ、その盗品を売りさばいて食うや食わずの生活をしている。その女に子供が出来た。が、赤ん坊に興味を示さない男は、彼女から預かった赤ん坊を売りさばいてしまう。それを知った女は失神し、病院に担ぎ込まれる。男はあわてて赤ん坊を取り戻そうとするが…というお話し。
前作「息子のまなざし」('02)で俳優の後頭部斜め後ろからキャメラを向け続けるという特異なスタイルを貫き通したダルデンヌ兄弟、今作ではぐらぐらと揺れる手持ちキャメラを使って彼と彼女の心細げで不安げな顔と背中を捉える。何をやっても駄目な、つくづく阿呆な男の、細くしょぼくれた背中と、子供を産んだとたんに少女から母親へと変貌する女の眼差しがこの映画の象徴。
ラストを「微かな希望を繋ぐ愛」と見るか、「そりゃないだろ」と見るか、未だ考えてしまう。

ある子供 [DVD]

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