映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ブロークバック・マウンテン」監督アン・リー at シネリーブル神戸

本年度アカデミー監督賞受賞。1963年、ワイオミングの山脈。二人の男が羊飼いの
アルバイトにやって来る。作業は過酷で、大自然の中で何週間も暮らさなければならない。
ある夜突如、二人の男は性的関係を結ぶ。仕事が終わり、離れ離れになった二人は、
それぞれ家庭を築くが、妻や義父との関係に悩み、一通の葉書をきっかけに再会する。
そして、堰を切ったように愛し合うようになる…というお話し。バイセクシャルの道行き、
と捉えるのは早計で、男女の恋愛とは異なる、純情のぶつけ合いは見たこともない強靭な「愛」の
かたちを見せつける。この繊細な演出ぶりは見事というほかない。後半、時が経ったあたりからは
ストーリーとしての非凡さに欠けるが、演出の重心はひたすらに男たちの言葉と
仕草から情念を浮かび上がらせることに腐心しているようだ。そういえばアン・リーの第2作、
「ウェディング・バンケット」('93)もゲイ・カップルの話しだった。