映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ぼくを葬る」監督フランソワ・オゾン at OS名画座

葬る、は「ほうむる」ではなく「おくる」と読ませる。英語タイトルが"Time To Leave"だから、「去るまでの時間」か。現代フランス映画界のエース監督、オゾンの最新作。これまでのやや自己顕示が過ぎる「仕掛け」を封印し、31歳にして余命3ヶ月と宣告された男の「残りの時間」を淡々と描く。ロマン(メルヴィル・プポー)は、売り出し中のキャメラマン、そしてゲイ。医師に癌を宣告され動揺するが、やがて運命を受け入れる作業を始める。
祖母(ジャンヌ・モロー)の、素晴らしい愛に満ちた台詞、所作に唸る。静謐なキャメラは的確なショットを積み重ね、無駄がない。
ひたすらに主人公の行動の観察に勉め、美しい死に方を用意するオゾンに対象への愛情を感じた。
大好きな「夜よ、さようなら」('79)の監督・主演だったダニエル・デュヴァルが父親役で出て来てぴっくり。