映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「インサイド・マン」監督スパイク・リー at 109シネマズHAT神戸

ニューヨーク、マンハッタン信託銀行に侵入した四人組の銀行強盗。店内にいた銀行スタッフと客を一ヵ所に集め、全員の携帯電話を取り上げ、服を着替えさせる。
犯人と、人質が同じ服を着て、同じサングラスにマスクを付ける。犯人グループは金品を奪って逃げ去ることもなく、篭城を始める。担当刑事となったキース(デンゼル・ワシントン)は犯人のリーダー(クライヴ・オーウェン)とのやりとりで彼らがただの銀行強盗でないことに気がつく。一方、"会長"と呼ばれる銀行の頭取(クリストファー・プラマー)は、弁護士(ジョディ・フォスター)を雇い、銀行内に保管されている「重要な物」を取り出すことを命じる…というお話し。
たくさん映画か海外ミステリーに触れている人なら、このスイス人とされる"会長"は「アレ」ではないかな、とピンと来る筈だ。銀行と言えばスイス、スイス銀行と言えば「アレ」の財宝…案の定カンは当たっていた。実に古典的な銀行強盗のオープニング、ミステリーの定石的要素、「セルピコ」('73)、「狼たちの午後」('75)などのポリスもの、銀行強盗ものへのオマージュ(両作ともNYが舞台、アル・パチーノが主演)と映画を長く観て来た者には「それなりに楽しめる」内容。が、観終わってどこかもの足りないのは、演出でどうにでもなった筈の犯人サイドと"会長"との怨恨的対立がサラリとしか触れられていないからだと思う。その辺りがS・リーのS・リーたる所以、ヨーロッパの歴史にはさほど興味がないご様子。とまれ、ジョディ・フォスターのワルぶりは一見の価値あり。