カサノバ、といえばフェリーニ版の印象が強いが、今回はストーリー・テラーの神業的職人芸を誇る、スウェーデン人ハルストレムが監督。カサノバの猟色ぶりはイントロでちょこっと見せるだけで、その人物像をそれほど掘り下げない。しかし、二重三重に伏線を張り、各々のキャラクターが"世を忍ぶ仮の姿"を持つ為に誤解し合うという、実に複雑な脚本を精緻に描く事で、圧倒的な面白さを見せつける。18世紀ベネチアが舞台だが、どこかアメリカンな印象のルックで、ハルストレムらしからぬが、徹底して物語の面白さで見せ切る為のそれもまた狙いなのだろう。バチカン・カソリックへのあからさまな皮肉、批判も痛快だが、とにかく、今年一番笑った、楽しかった、お腹いっぱいの娯楽映画。お勧め。
フェデリコ・フェリーニ セレクション (カサノバ/女の都) [DVD]
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2005/05/21
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (20件) を見る