映画和日乗

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「マイアミ・バイス」監督マイケル・マン at 109シネマズHAT神戸

'80年代人気TVシリーズの映画化。監督マイケル・マンはこのTV版のプロデューサーでもあった。カリフォルニア、スタイリッシュなキャラクター、男臭さ、そしてガン・アクション。彼のキャリアからすると、「マイアミ・バイス」は自身の映画嗜好の原点でもある。
誤解を怖れずに言えば、ストーリーは大して重要なファクターではない。麻薬組織壊滅の命を受けた潜入捜査官ふたり、敵方のボスの秘書との悲恋、味方のFBIの裏切り、誘拐された恋人の奪還、最後は大銃撃戦…と聞いただけではルーティンもいいとこだが、前作「コラテラル」('04)から使用されているHDVキャメラを縦横無尽に駆使してのルックと、マイアミ中南米と展開するロケーション、カクテル一杯飲むのにジェット・ボートでキューバに走るロマンティシズム(コリン・ファレルコン・リーにシートベルトを締めてやる優しさ)、そして多分マニア垂涎と思しきガン・アクションのハデハデさ、カッコ良さ(音楽も)でお腹いっぱいにしてくれる。マン監督の言葉を借りると「パワフルな感情表現」が見る者を陶然とさせ、これはこれで楽しめる。やや長いが佳作、オトナにはお勧め。