1936年の上海の西欧租界地が舞台。ロシア革命から逃れて彼の地に潜む貴族一家はプライドばかり高く収入もないのに、稼ぎ頭としてダンスクラブで働くかつては伯爵夫人だったソフィア(ナターシャ・リチャードソン)を蔑視している。そのクラブで知り合った盲目の米国人外交官ジャクソン(レイフ・ファインズ)は、自ら「白い伯爵夫人」と銘した新しいクラブを経営することに乗り出し、ソフィアをマダムにする。それが盲目の彼にとって脳裡に想う彼女への愛の証しだった…というお話し。
精彩を欠いた、凡庸なルックは撮影監督のせいだけではないだろう、この酷く説明的で非映画的な脚本にスタッフが戸惑っていたのではと想像される。盲目の外交官の「幻想」としての恋愛にしてはあまりにヒロインは魅力に乏しく、これといって華やかでもなければ儚げでもない。映画の観客は「見えている」ことをこの監督はわかっているのか?そして一体いかな理由でこんな女優が主演をはっているのだろうか、ここでもまた酷い脚本にあらかたの名も華もある女優に逃げられたのではと意地悪な想像をしてしまう。ひたすらべらべらと状況的説明を、流暢かつ奇麗な発音の英語で(覚えるのも大変だ)語っていた真田広之はある意味お見事。小説家の原作・脚本兼任は大変冒険的であることが教訓として示された。
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