渡辺淳一のベストセラー小説を元読売テレビの鬼才ディレクター、鶴橋康夫が初監督。
鶴橋監督と言えば、マルチキャメラを使った複眼のカットを繋ぎ合わせることで、主眼、複眼、そして観客の目線を織り交ぜる、近視眼と俯瞰のコントラストが特徴だと記憶している。今作でも取調室のシークエンスや京都駅での豊川悦司と寺島しのぶの出会いのシーンでその技を垣間みることが出来るが、情交シーンになると必ず風景カットのオーバーラップとなるのは噴飯ものだ。成人指定を避ける苦肉の策なのだろうが。長谷川京子はミスキャスト、また彼女演ずる検事の質問が芸能リポーター並みに幼稚なのは一体どうしたものか。勿論それは長谷川嬢だけの責任ではないが。'07年1月公開。