映画和日乗

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「ブロークン・フラワーズ」監督ジム・ジャームッシュ at パルシネマしんこうえん

ドン(ビル・マーレイ)は、ITでひと儲け、悠々自適の生活だが、恋人に愛想を尽かされ、出て行かれてしまう。そこへ舞い込んだピンク色の封筒。
20年前に別れたという女性からで、貴方に黙って産んだ男の子が貴方の家に向かって旅をしている、どうかよろしく、という内容。身に覚えがないドンは、隣人のウィンストン(ジェフリー・ライト)に相談する。この男、探偵気取りのお節介で、ドンに過去の恋人のリストを作らせ、その住所を勝手に調べる。ドンはその住所を頼りに5人の過去の女性を訪ねる旅に出る…というお話し。
過去の恋人の居所がすぐに判るなんて(ありえねー)男性的なファンタジーであり、へんてこなリズムの「エチオピア音楽」のCDを聴きながらぼんやりと旅をするのもまた「オツな」もんであるという点ではオトナの童話である。しかし、最後に訪ねた女(ジェシカ・ラング)に疎まれ、更には息子と思い込んだ男にも気持ち悪がられて逃げられる。中年クライシス、実に情けない限りで残るのは孤独感だけだ。
ジャームッシュの、初期作品の特徴であるフェイド・イン/アウトを多用し、フィックスのキャメラと長い間合いで可笑しみと悲哀を醸し出しているのはそれなりに楽しいのだが…「だからどうした」感がつきまとう。シャロン・ストーンの娘役、アレクシス・ジーナが出色。

ブロークンフラワーズ [DVD]

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