映画和日乗

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「007 カジノ・ロワイヤル」監督マーティン・キャンベル at 109シネマズHAT神戸

007ジェームズ・ボンドシリーズ21作目。イアン・フレミング著「カジノ・ロワイヤル」はこのシリーズの最初の一作。大昔に読んだが内容は全く記憶にない。
新ボンドにダニエル・クレイグを迎えての原点からの発進、とあって観る前は1960年代を舞台にするのかと思ってたが、そんなことはなく"9.11"後のテロ社会の真っただ中、テロ組織に資金提供し、テロの標的になった企業の株を売り抜けるという組織を殲滅するのが今回の007の任務。
何より、ボンドのキャラクターが良い。若さ故短気でミスも犯す、だが身体能力は素晴らしく、走る、跳ぶ!武術にも長けていて拳銃よりも先に素手での闘いで魅せる。製作チームのリニューアル意識は細部に及び、新兵器は影を潜め、Qに至っては登場すらしない。いつもは執務室から出なかったM(ジュディ・デンチ)は現場にもやって来る。エヴァ・グリーンとの恋もこれまでとは違って本気。シャワールームでのずぶ濡れの優しい抱擁は記憶に残る名シーンとなった。更には海千山千のWスパイ役にイタリアの大ベテランジャンカルロ・ジャンニーニとはファンとして嬉しい配役。
後半まで来たら全作見続けたマニアとしては第6作「女王陛下の007」('69)の展開かとも予測したが、脚本は更にひとひねり、ふたひねり、泣ける、巧い。ラストもここで終われ!と念じたらその通りにキマってくれて拍手してしまった。脚本良いと思ったらポール・ハギスがリライターとして名を連ねている。「硫黄島」2本書いてこれ書くとは。恐るべし。
「キミには女性としての興味はないよ」頭が良いから?「いや、独身だから」。書ける?この台詞。傑作、お勧め。


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