映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「イカとクジラ」監督ノア・バームバック at 三宮シネフェニックス

イカとクジラ。食べられる者と、食べる者の対決か、と思ったらNYの自然博物館にある世界最大のイカ、ダイオウイカ対クジラの巨大オブジェのことを指すということが映画を観ていると判る。しかし当然それは映画のモチーフのメタファーとして機能している訳で、「高尚過ぎて売れない作家の父親」=クジラと「売れてる作家の母親」=イカの夫婦とその子供達の物語である。夫婦は離婚を決意し、父親の文学を擁護する長男と、甘えん坊の次男がそれぞれ父、母に引き取られ、取り決めによって日替わりで両家を行き来する。父は「彼女一筋だった」と言い、母は奔放に男を家に入れていた過去が判って来る…やがて子供達は学校で問題行動を起こすようになる。そう、ストーリーとしてはどうということないのだが、NYらしいインテリ層の個人的リクツ優先の応酬を楽しむ(いや、楽しめと言うべきか)のがモチーフのようだ。つまり…それが面白いと思うかどうかで評価が別れる。私にはただの身勝手としか映らなかった。何より、時にピントがぼける16ミリの映像の汚いルックが素人臭くて耐え難かった。「マンハッタン」('79)という名作を知る者にはチープ過ぎてどうも。


夕刻、芦屋市役所へ。山中健芦屋市長、倉光弘巳芦屋大学学長と鼎談。