映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ボルベール」監督ペドロ・アルモドバル at シネモザイク

スペイン、ラマンチャ地方。ライムンダ(ペネロペ・クルス)は実の妹と自分の娘を連れて亡くなった母親の墓参り。帰路、盲目で認知症が進む叔母を見舞う。自宅に戻ると夫は職を失っている。翌日から働きに出るライムンダ、その留守をいいことに夫は娘を犯そうとして逆に刺殺される。ライムンダは近隣の料理店のフリーザーに夫の死体を詰め、閉店状態だったその店でランチ営業を始める…というお話し。更にここから死んだはずの母親が実は生きていて、という展開となる。奇想天外のようで実は田舎の因習めいた血の濃さが皮膚感覚で描かれ、その象徴としてのペネロベ・クルスのど根性ぶりが圧倒的。何よりギラギラとフェロモンを振りまき、エネルギッシュで魅力爆発だ(昨年度カンヌで主演女優賞)。本作の彼女を見ていて即座に喚起されるイメージは若かりし頃のソフィア・ローレン。資料によるとアルモドバル監督は「ふたりの女」('60)のソフィアを参考にしているらしい。この映画未見なのだが、スチールを見ているだけでなるほどと合点が行く。
後半、血族の因縁が明かされて行く過程が「説明」になっている印象。とまれ、ペネロペ最高。

ボルベール<帰郷> (字幕版)

ボルベール<帰郷> (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video