映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ヴィーナス」監督ロジャー・ミッシェル at シネリーブル神戸

ロンドン。身を寄せ合って住む老俳優モーリス(ピーター・オトゥール)とイアン(レスリー・フィリップス)。そこにイアンの姪っ子、レスリー(ジョディ・ウィテッテカー)が田舎から職探しと称してやって来る。無礼無作法なレスリーにイアンは匙を投げるが、モーリスはスケベ心を抱いて彼女を街に連れ出す。70代後半と思しきモーリス、彼女の裸を見たい、肌に触れたい一心であの手この手で彼女に接近する…というお話。
即座に谷崎潤一郎の諸作を想起させるが、こちらはポップで軽い感じ、ジョディ・ウィッテカーという女優がさほど美人でもなく、明るくもないのが却って成功していて老人の性の惨めさをあまり感じさせない一方、命のともしびの揺らぎも忘れずに描かれていて秀逸。
なんと言ってもピーター・オトゥールの、自身そのままを演じているかのようなナチュラルさと、別居妻役のヴァネッサ・レッドグレーヴの渾身の絡みっぷりには惚れ惚れした。このストーリー、翻案して日本でも出来そうだ。


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