19世紀末、日本では江戸時代末期。フランスの田舎町から絹の原料となる蚕の卵を求めて、一人の青年エルヴェ(マイケル・ピット)がヨーロッパを横断し、更にシベリアを横断して日本に辿り着く。当時はまだ外国との商取引は御法度、変装しあるいは目隠しをされて連れてこられたのが東北のある村。
謎めいた商人ハラ(役所広司)と交渉の末エルヴェは卵の買い付けに成功し、故国に戻る。故国には美しい新妻(キーラ・ナイトレイ)が待っていたが、エルヴェの心はそこにはなかった。それは日本の自然と、ハラの傍にいた女(芦名星)の魔性に魅入られていたからであった…というお話し。
フランス、と言っても使われている言語は英語で、資料によるとロケはイタリアだったそうだ。つまり象徴としてのヨーロッパでありそこから夢想した日本が描かれる。きちんと日本でロケ(長野県松本市郊外とのこと)されている点にまず敬服する。ユーラシア大陸を又に掛けた大河ドラマ、にも拘らず、スケール感のあるドラマのうねりより、ゆったりとした静謐な美の造形にジラール監督の狙いはあるようだ。これに坂本龍一の渾身のピアノが重なって、観ていて心地良いことこの上ない。主人公にあまり魅力を感じなかった、それでも映像と音楽で見せ切っていると思うが、評価は分かれるところだろう。
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