映画和日乗

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「ラスト、コーション」監督アン・リー at シネリーブル神戸

ロマンティシズムに流されることなく異性同性両方の恋愛を見つめて来たアン・リーの集大成と言えるのではないか。1940年代初頭の日本軍制下の上海、香港の美術デザインの細密さもさることながら、それをことさらに見せつけるのではなく、むしろサイズをつめたアングルで俳優の心身両面まるごと見つめることに腐心している。特殊に動き回るカットはなく、むしろかっちりとオーソドックス、それでいてこのパワフルさだ。大島渚監督「愛のコリーダ」('76)をリー監督が観ていないはずはない(上海の日本軍人御用達料亭の描写にそれを感じる)、そしてここに自らの"Empire Of The Senses"を打ち立てたと言える。タン・ウェイ凄い凄いもの凄い!日本の女優は絶対追いつけない、傑作、必見。

ラスト、コーション [Blu-ray]

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