映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ラスベガスをぶっつぶせ」監督ロバート・ルケティック at OSシネマズミント神戸

原題"21"はカードゲームのブラック・ジャックのこと。ボストン、マサチューセッツ工科大に通うベン(ジム・スタージェス)は頭脳明晰、ハーバードの医科大への転学が認められたが、入学金が莫大な為諦めざるを得ない状況だ。が、彼の才能に目をつけた大学教授(ケヴィン・スペイシー)は、ラスヴェガスでの一攫千金を持ちかける。それはチームを組んでの数学的なブラック・ジャック勝利法によるものだった…というお話し。
母子家庭、母の働くカフェでオタク仲間とつつましく誕生パーティを開く。そこで見かけるアッパーな連中の喧噪…現代アメリカの不条理な格差ををややしつこく見せる序章から一転、ギンギンギラギラなヴェガスの狂躁へ。この後の展開は大抵の観客が読めてしまうだろう。案の定ベン君は一文無しに…となる。後半はややマンガチックな展開。
この映画、つくり手はギャンブルの鉄火場スリルではなく、むしろひとりの男の子のグローインナップ青春物語へと軸足を置いている。センチメンタルなサウンドトラックがそれを物語っており、ラスト・ソングのストーンズ"You Can't Always Get What You Want"でそれを確信させる。この曲「再会の時」('83)でも使われていて'70'sの郷愁と連帯の象徴なのだろう…と思ったら監督のルケティック、'73年生まれの35歳か。とすると歌詞を映画のテーマにシンクロさせただけなのかな。過剰に反応してしまったこちらがオジさんなのね。"You can't always get what you want.And if you try sometime you find.You get what you need"