映画和日乗

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映画「道草キッチン」2025年11月公開  

「西の魔女が死んだ」監督・長崎俊一 at シネ・リーブル神戸

梨木香歩の同名小説の映画化。児童文学にカテゴライズされているそうだが、映画でも中学一年生のヒロインの目線で描かれる。
中学校に入学した途端に不登校となったマイ(高橋真悠)は、母(りょう)に連れられて祖母(サチ・パーカー)の住む森の中の一軒家に預けられる。マイは優しい祖母が大好きだったが、やがて起きる様々な出来事によって生きることの意義を諭されるようになる…というお話し。
サチ・パーカーが、初めて登場するシーンのケレン味の無さが良い。敬愛する長崎俊一監督、流石に二言目には「癒し」「癒され」とひとくくりにしてしまう押し付けがましいロハスぶりっこ映画に陥ることはない。ここでの淡々とした進行ぶりはむしろ強靭であるとさえ言える。少女の気持ちをネガティブにさせる隣人(木村祐一)や、突然訪れる森の嵐や霧は、人生の全体像のメタファーであり、どんなに孤独でも愛し、愛してくれる人がひとりいれば救われる、強く生きよというメッセージを発しつつ、少女が引っ越しと転校を決意した時のサチ・パーカーの一瞬の所作に、人間というものの弱さと寂しさを見せる巧さに刮目。アニメの吹き替えのような、独特の台詞まわしもユニーク。

西の魔女が死んだ Blu-ray スペシャル・エディション

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