映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

「おくりびと」監督・滝田洋二郎 at MOVIX六甲

オーケストラのチェロ奏者である大悟(本木雅弘)は、突然の解散に見舞われ失職、妻(広末涼子)と共に故郷山形県に帰る。死んだ母が残したスナックに住み、大悟は職探しを始める。好条件で飛びついた就職先の仕事は「納棺師」。亡くなった人の骸に死化粧を施して棺に納める仕事であった。戸惑いと後悔の念に苛まれる大悟だったが、社長(山崎努)の真摯な仕事ぶりにやがて引き込まれて行く…というお話し。
登場人物のキャラクター設計と、それに見事にはまっているキャスティングは完璧。滝田監督の同級生だという山田辰夫が「壬生義士伝」('03)に引き続き、ここぞというところで泣かせる名演、笹野高史は彼以外にはあり得ない凄みを見せつける。そして山崎努の「納棺師とはこんな人である」という悟りの境地の如き佇まいに息を呑む。
が、何より本木雅弘。この人の納棺に於ける所作の美しさは日本舞踊かバレエかというフォルム、この静謐で繊細な儀式が、後半実の父親の遺体を前に執り行われる時、観る者は慟哭を禁じ得ないだろう。映画的に作り込まれたセットデザイン、きっちりとした間合いの演技演出は単なるリアリズムから飛翔していることで成功している。滝田監督の多彩な技量に脱帽、入場料金絶対損させない、お勧め。