映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「バンク・ジョブ」監督ロジャー・ドナルドソン at シネリーブル神戸

1971年、ロンドンで起こった実話の映画化。資料によると「90パーセント事実」と映画を観た事件関係者は語ったらしい。また、映画のエンドロールで出て来るが、英国政府は2054年までこの事件に関するドキュメントの公表を封印するとしている。
借金まみれの自動車修理工場の経営者テリー(ジェイソン・ステイサム)は元カノの女(サフロン・バロウズ)から銀行強盗を持ちかけられる。テリーは仲間を集めて実行に移す。銀行の向かいの雑貨屋を間借りし、そこからトンネルを掘って銀行の地下金庫へと抜けるという奇想天外な計画である。この計画、実は単なる金品狙いではない、英国政府を巻き込む大きな陰謀が背後にあった。そうとは知らずテリーら一味はせっせとトンネルを掘り続けるが、見張り番とのトランシーバーのやりとりをアマチュア無線家に傍受され…というお話しでこれ以上はお知りにならない方が良いだろう。実に複雑なストーリーを混線させず、夥しい数の登場人物のキャラクターを描き分け、なおかつスピーディな展開で見せるクライム・アクション娯楽映画のお手本のような作品。何故か評判の良い「その土曜日、7時58分」より数段面白いし良く出来ていると個人的には思う。
「実話」とのことなのでちょっと検索してみたら英語版ウィキペディアにこの映画に出て来るマイケルXのことが記載されており、映画が事実に沿ってつくられていることがよくわかる。「クィーン」('06)でもそうだが、英国の「表現の自由」の揺るぎなさに脱帽。
地味に公開されているが見逃すと損、お勧め。