映画和日乗

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「ミルク」監督ガス・ヴァン・サント at シネマート心斎橋

'70年代初頭。NYのサラリーマンだったハーヴェイ・ミルク(ショーン・ペン)は、地下鉄の駅で出会った男と恋に落ち、サンフランシスコに移住。DPEの店を始めるが、ほどなくゲイピープルのたまり場となる。キリスト教右派の差別と迫害に対して、ゲイの基本的人権の尊守を訴えるため、ミルクはサンフランシスコ市の市政評議員に立候補する。何度かの落選、下院議員選への鞍替えも経るが、草の根の活動が実ってとうとう当選する。しかし、彼の前に立ちはだかったのはゲイの教師を学校から排除するという新法案の提出であった…というお話し。
今年のオスカー2冠。実在の人物のほぼ史実通りのストーリーで、完全な成りきりぶりを見せつけたショーン・ペンが主演男優賞。アカデミーはこの手のマイノリティの熱演に弱い気がする。映画としては「なるほどこういうことであったか」を知る良いテキストであり、カミングアウトしているガス・ヴァン・サント監督によるマイノリティとしてのゲイへの愛情と主張がよどみなく展開する。ミルクを殺した犯人が、サンフランシスコ市警と一体何を話したのか映画の中でも謎にしているのは、本当に不明だからなのだろうか? Wikiには支持者の助言とあるが。
とまれ、アラーの神のもとに勝利する「スラムドッグ$ミリオネア」と合わせて、この「ミルク」に於いて非論理的で排他的なキリスト教右派という存在に、アメリカ社会が心底ウンザリしている"ブッシュ以後"を感じる。