映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

「ガマの油」監督・役所広司 at 三宮シネフェニックス

役所広司初監督作品。
デイトレーディングで富豪となり、悪趣味で馬鹿でかい家に住む男(役所広司)の息子(瑛太)が交通事故で死ぬ。息子には恋人(二階堂ふみ)がおり、息子の携帯電話に出てしまった父は、つい息子が死んだことを言いそびれて息子のふりをしてしまう。一方、少年院から出て来たばかりの息子の親友サブロー(澤屋敷純一)は、遺骨を恐山に撒こうと言い出す。父はキャンピングカーを買い、サブローを伴って北上の旅に出る。道中、子供の頃に出会ったガマの油売り(益岡徹)に再会して…というお話し。
息子の恋人の女の子の独特の節回しの台詞、無声映画時代のギャグのような役所の電話の切り方、掛け方、その所作。リアリズムで行かないんだな、と思ったらどんどんファンタジーへと突き進む。監督役所広司がやりたかったのは山中でガマの油売りと再会するところからだなと思って間違いないだろう。というのも、プロローグがある程度家族劇であるのに対し、この中盤以降が近視眼的でどうにも脈絡がなくなってしまうのだ。熊に遭遇するのもやりたかったことのひとつなのだろうと思うが。劇中、突き抜けるような叫び声をしばしばあげる役所だが、本質的にはねちっこく自らの過去体験に耽溺する人なのだなと意外な印象。仏壇へのこだわりなとその最たるものだろう。ロバート・アルトマン相米慎二大島渚と組んで来た栗田豊道撮影監督の力量には酔える。