映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「青春の蹉跌」監督・神代辰巳 at シネマヴェーラ渋谷

1974年東宝+渡辺企画作品。劇場で見るのは初めて。
ローラースケートの萩原健一、そこへ井上尭之のあのしびれるようなメロディ、クラクラと漂う神代流のキャメラ(撮影・姫田真佐久)。やっぱり良いなぁこの映画。石川達三の同名小説の脚色に難航していた長谷川和彦が、自らの東京大学アメリカンフットボール部時代の体験をミックスして書き上げたと何かで読んだ記憶がある。有るべきクールな上昇志向よりはいつも俯き、後ろを振り返る小心なニヒリズムが支配していて、挫折の時代の気分が充満している。
綺麗なプリント、シネマヴェーラの大きなスクリーンで見ると、フィルム全体を覆う'70年代そのものの空気が、胸一杯に広がり何とも心地良かった。あのゼロックスのTVCMの、シンプルなのに饒舌なイメージ、嗚呼1974。