映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「色即ぜねれいしょん」監督・田口トモロヲ at シネリーブル神戸

みうらじゅん原作、田口トモロヲ監督コンビによる第2作。
1974年の京都、仏教系高校に通う3人組が、夏休みに「フリーセックスの島」と伝聞される隠岐の島に上陸。ユースホステルで出会った女のコ達は彼らよりも大人だったが、純(渡辺大知)は、ユースの管理人のひとり、ヒゲゴジラ(岸田繁)に多大な精神的影響を受ける。京都に戻った純は島で出会ったオリーブ(臼田あさ美)との淡い恋も破れ、自作の歌を文化祭で歌うことに集中する…というお話し。
京都、'70年代というと「パッチギ!」('05、設定は'68年)と「ヒポクラテスたち」('80)が想起されるが、時代風俗は近いもののここで描かれる彼らは前記2作の中間層である。昨今の荒んだ、そして幼いヤンキーものの台頭に比べると本作のアッパーミドルの牧歌性には心からシンパシーを感じる。
田口監督は観客に対して、いわゆる時代風俗の符号に共感性を求める演出を提示する。その符号はややカタログ的に羅列されている向きもないではないが(つまり世代がずれるとついて行けない)、井筒監督のような直球ではなく、ゆるい含羞を込めつつ「僕らの時代、僕らの好きなもの」を愛情たっぷりに見せつける。一方、ユースホステルでの異性への狂おしいまでの煩悩のデティールは実にあっさりで、これは主人公達以上に監督に照れがあるのかと勘ぐってしまった。
俳優達の「な」が「にゃ」に発音変換される京都弁が嬉しい。
家庭教師の岸田繁、おかんの堀ちえみ好演。
ところで、公式サイト内の「壱岐の島ユースの旅」動画を見ると、純役の渡辺大知が若きみうらじゅんに酷似しているのがわかる。