俳優榎木孝明が自ら企画、自身の故郷鹿児島を舞台に、鹿児島発の映画を作り上げた。昨年の秋、今作の撮影監督を務めた阪本善尚氏より製作の苦労話を伺っていただけに労作であることは認知していた。
幕末、西郷隆盛に私淑した中村半次郎(榎木孝明)の半生を描く。何より迫力満点の合戦シーンに目を奪われるが、日本史に疎いせいか西郷隆盛が何故にかくも偉人であり、多くの男達に慕われていたのかが見えにくい。一方、半次郎という人物は学がなく、いささか直情径行に過ぎ立身出世の果てに女に溺れる、という人間臭い一面が正直に描かれている。
甲高い奇声をあげて斬り込む剣法も恐らくそういう流儀が存在するのであろう。そういったリアリズムは丁寧に積み重ねられていて見応えがある。ラスト、半次郎の嘗ての恋人さと(白石美帆)が彼の死に際に野山を越えて駆けつけるのはやや唐突な印象、もしそれが史実だとしたらご免なさいだが。EXILEのAKIRAの好演が光る。ミニシアター平日夕方にしては五分の入り、「感動したな」との言葉を残した観客もいて満足度は高いようだ。
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