映画的日乗

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「終着駅 トルストイ最後の旅」監督マイケル・ホフマン at Bunkamuraル・シネマ2

 文豪トルストイ晩年の激情の夫婦関係を描く、となるとひと昔前ならニキータ・ミハルコフ監督が格調高く描くんだろうなぁと無いものねだりでスクリーンに相対すると、エクゼクティヴ・プロデューサーはミハルコフの実兄アンドレイ・コンチャロフスキーだった。ドイツとロシアの合作だが、全編英語、俳優陣は素晴らしいが殆ど米英国人。監督はハリウッドの優等生マイケル・ホフマン、つまりロシアの匂いを意図的に消している布陣だ。今日こういうグローバル・スタンダードじゃないと企画が成立しにくいのであろう。
不見識でトルストイ(クリストファー・プラマーとは凄いキャスティングだ)という人がトルストイ運動と称して仏教的とも言える喜捨の思想を信奉していたことを初めて知った。そしてその理想主義に真っ向から抗ったのがトルストイ夫人ことソフィヤ(ヘレン・ミレン)。悪妻というレッテルを貼られているが、現代の視点からすれば無理な理想主義に異議を唱えるという姿勢はむしろマトモなように見える。それでも激しい行状はトルストイならずとも辟易、タジタジ、その強烈な印象を与えるヘレン・ミレンの演技が圧倒的。もう格が違うね。
およそロシアの厳しい風土を感じさせないメローなルックは勿論確信犯なのだろう、純正ロシア映画に比べるとやっぱり何か違和感を抱いてしまうが、娯楽映画として水準以上。
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