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「トゥルー・グリット」監督イーサン&ジョエル・コーエン at OSシネマズミント神戸

ジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞を受賞したヘンリー・ハザウェイ監督「勇気ある追跡」('69)のリメイク。尤もコーエン兄弟のインタビューによれば、チャールズ・ポーティスの同じ原作を使っているだけでハザウェイ版は意識していないとのこと。
ハザウェイ版は昔テレビで見た。二足立ちする馬に跨がったジョン・ウェインの勇姿がストップモーションになるラストカットとルースター・コグバーンというヒーローの名前だけが記憶にある。が、この予告編↓

Rooster Cogburn - Trailer

を見ると、今回のリメイク版とさほど変わらないシーンがあり、意識するしないに拘らず原作の流れに沿うとある一定のシチュエーションは外しようがないようだ。当たり前か。
とはいえ、コーエン兄弟である。話しの本筋には関係ないような与太話しを延々とするコグバーン(ジェフ・ブリッジス)、何の意味があるのか熊の毛皮を被った歯医者、先住民族へのあからさまな差別暴力描写(つまり、その方が時代的にリアルということ)など「らしさ」も横溢。
名手ロジャー・ディーキンス撮影監督の抑制のきいたロングショットは惚れ惚れする程品が良く、西部劇の伝統を踏襲…と思いきや、人工的な星空をここぞと見せる(星というものは、映画撮影用キャメラで直接撮影してもフィルムに写らない)映画的仕掛けには感動を禁じ得ない。
本国では大ヒットと聞くが、我が国では難しいかなこのウェスタンの王道は。

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