映画和日乗

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「キッズ・オールライト」監督リサ・チョロデンコ at シネリーブル神戸

C.A.郊外の町、女性二人のカップル、つまりレズビアンの家庭が舞台。彼女達は精子バンクから人工授精して女の子と男の子を産んでいる。長女ジョニ(ミア・ワシコウスカ)はニック(アネット・ベニング)の子で18歳、長男レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)はジュールス(ジュリアン・ムーア)の子、中学生くらいか。
ある日この姉弟精子ドナーとなった「父親」を探し出す。ポール(マーク・ラファロ)というその男、レストラン経営に成功し、ガールフレンドと優雅な暮らしをしている。姉弟と会って見るとなかなか爽やかな「お父さん」だった。二人はニックとジュールスの「お母さん」にポールを引き合わす。
それは微妙な雰囲気の食事会だったが、ポールが環境デザイナーだというジュールスに自宅の庭のデザインを頼んだ事からこの「家族」が軋み始める…というお話し。
チョロデンコ監督は女性。キネマ旬報5月下旬号の論評によると監督自身が同性愛者であり、精子ドナー提供による人工授精によって子供を設けている。オリジナル脚本(スチュワート・ブルムバーグ共同脚本)であることからするとチョロデンコ監督の私生活的要素が強いと想像される。
何といってもアネット・ベニングの潔癖過ぎる神経質ぶりが女性監督ならではのリアリティ。勿論演じたベニングは一流の演技者だが。対してジュリアン・ムーアの激しく躍動する肉体の女っぷりには敬服する。
浮気、三角関係、後悔、破綻とゲイ=レズであることを除けばそれほど新味のあるシチュエーションでもないが、ちょっした仕草、眼差しの投げかけ方の細かさといった丁寧で繊細な演出で見せ切っている。佳作、お勧め。
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