映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「パレルモ・シューティング」監督ヴィム・ヴェンダース at オーディトリウム渋谷

ひとりのドイツ人キャメラマン(カンピーノ)がしばしばファインダーの向こうに現れる幽霊のようなおっさん(デニス・ホッパー)に苛まれる。モード誌の撮影で妊娠しているミラ・ジョボヴィッチ(本人)と仕事をするが、もっと素の自分を撮って欲しいというミラの要望でキャメラマンはロケ地をシチリア島パレルモに選ぶ。そこに再びおっさんが現れ、キャメラマンを矢で射る。パレルモで出会った古典名画を修復する仕事をする女性(ジョアンナ・メッゾジョルノ)は、恋人を事故で失ったばかりだが、キャメラマンの旅につき合う…と、さほど深いストーリーがあるわけではない。2008年の作品ということで、2010年に亡くなったデニス・ホッパーを拝める目下のところ最新作でもある。が、何よりかにより、驚異的なルックに目が釘付けになる(撮影監督フランツ・ルスティグ)。どのカットをとっても素晴らしく美しいフォルムと色彩だ。HD撮影として究極のクオリティだと思うのだが、imdbにそのスペックが記載されていない。例に依って詩的なモノローグに彩られるが、とにかくキャメラと音楽で見せ切った、というかそこにしか気が行かなかった。
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