映画和日乗

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「PINA/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」監督ヴィム・ヴェンダース at TOHOシネマズ西宮OS

3D版。
2009年に亡くなったコンテンポラリー・ダンス振り付け師の世界的巨匠、ピナ・バウシュを偲ぶ映像と彼女の主宰していた舞踏団のいまをとらえるドキュメンタリー。
冒頭、四季の移ろいを喜びと共に表現するダンスが現れるが、その意味とダンス表現が分り易く伝わるのはそこまで。一気に言葉の表現を越えた、言葉以外で表現される「言葉にならない」次元へと突入する。ピナ・バウシュについて各ダンサーが語る挿入映像も、口を開かずじっとレンズを見据える彼等に、その撮影の前か後かに彼等が語った言葉が被さる構成。それも英語仏語スペイン語ドイツ語韓国語、あるいは私にはわからない国語によって発せられる。日本語の字幕はつくものの、それらもきっと不要だったのかも知れない。この表現には徹底して言葉を排除する意志が見られるからだ。
ダンス表現の意味性、ストーリー性を追うのもそれこそ無意味で、ヴェンダース特有の絵画調のフレームの中で爆ぜるダンサーのパッションをのみ感じなければならない。言語習慣と意味に呪縛されたままの戸惑いから開放される頃、映画は終わる。


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