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「生きてるものはいないのか」監督・石井岳龍 at シネリーブル神戸

石井聰亙改め石井岳龍監督10年ぶりの新作。
ソーシャル・ネットワーク」('10)に登場する学生に比べれば、実に幼稚な中身のない話しを延々と続ける我が国のどこかの町(神戸市内ロケ)の学生。都市伝説というチープな「会話のとっかかり」に過ぎない薄っぺらな事象にオツムが低級なりに「取り組んで」いるようだ。そんな彼等がバタバタと倒れ、死んで行く。その死に対してもまともな対応が出来ずうろたえ、逃げ、あげく実家のお母さんに電話しようとする学生…そうか、このタイトルは彼等が生きていようが死んでいようが「全く生きていない」ことを指すのか。ここに登場する全ての人物がバカに見えてしょうがないのだが、それがこの映画(原作は戯曲)の確信犯的な狙いなのであろう。石井監督が「イマ風」に流される訳はなく、徹底して突き放し、救わない。そんな中1人生き残った喫茶店のウェイター(染谷将太)が丘に佇み、破壊されて行く都市を眺める。ここから数分が石井聡亙、もとい岳龍監督「らしさ」全開で、冷めたスープに灼けた石を放り込む感じ。そこから自分が学生の頃死ぬ程憧れた石井"狂い咲きサンダーロード"聡亙の懐かしい匂いが微かにした。



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