映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ヒューゴの不思議な発明」監督マーティン・スコセッシ at 109シネマズHAT神戸

2D版での鑑賞。3D版で見た方が楽しめると思う。そういう風に作られている。
第一次世界大戦後のパリが舞台、それも鉄道の駅。時計台に住む孤児ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)が亡父の形見である機械人形を修繕しようと部品を集めている、駅構内で出会ったおもちゃ屋のおじいさんジョルジュ(ベン・クングスレー)は彼を万引き犯として捉えるが、ヒューゴが持っていたノートに書かれたパラパラ漫画に異様な反応を示しそれを没収してしまう。ヒューゴはどうしてもノートを返して貰いたくておじいさんの家まで行くが、そこでおじいさんの養女イザベル(クロエ・グレース・モリッツ)と知り合う。イザベルは頭の良い子でヒューゴと共におじいさんが何故か嫌う動画の原画の謎を解こうとする…というお話し。
希代のシネアスト、スコセッシ監督だがここのところ枯れてしまってパサパサな印象の映画ばかりだったので今作も心配だったが、ジョルジュ・メリエスという映画づくりの起源についてのストーリー、その映画的教養を遺憾なく発揮している。メリエスの映画黎明期に於ける奮闘ぶりは、スコセッシ自身の映画づくりへの情熱と重なるのか自分で出演(写真屋の役)までして生き生きと楽しそう。
スピルバーグが「戦火の馬」でハリウッド黄金期を回顧し、スコセッシがヨーロッパの映画黎明期を描く。デジタルと3Dの時代を迎え、未見のオスカー作品賞「アーティスト」を含め映画のクラシックを見つめ直すこの同時多発は、偶然ではない「映画らしさの再認識」運動だろう。
余談だが邦題の「ヒューゴの不思議な発明」は解せない。ヒューゴは何も発明していない。とまれ、佳作、お勧め。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村