映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「僕達急行 A列車で行こう」監督・森田芳光 at 109シネマズHAT神戸

図らずも森田芳光監督の遺作となってしまった。
森田監督のオリジナルシナリオ、お話しは単純至極、鉄道趣味で意気統合する二人の青年(松山ケンイチ&瑛太)と彼等を取り巻く女性、会社の上司、得意先の人々がスケッチ風エピソードで綴られる。女性心理に疎く、自分達にとって楽しいことに没頭する姿は「間宮兄弟」('06)と文字通り兄弟のような関係の作品と言える。
古き佳き時代('60年代〜'80年代かな)の日本映画のルック、、松坂慶子伊東ゆかりといういにしえのスター(伊東ゆかりはかなりベタなパロディ)の登場、東宝「社長シリーズ」のような会社…現代でありながらどこか現代性が希薄でキャバレーもあんなのありえないけど理想的な空間。映画の居住まいというか、空気が爽やかで心地良くて楽しいことこの上ない。マンションの管理人役で伊藤克信が出て来る。「栃木の実家に戻る」なんて楽屋落ちギャグ。森田監督にとっても伊藤克信にとってもデビュー作「の・ようなもの」('81)以来のコンビはこれで途絶えるのかと思うと可笑しいシーンなのに涙が出かかる。
熱帯魚の水槽のポコポコ…という効果音、ギギギ、とかヒューッとかおかしげな効果音は「家族ゲーム」('83)やら「黒い家」('99)を思い出し、やたらに被る鳥のさえずり声は「の・ようなもの」を思い出す。キャバレーやらクラブやらの水商売への愛着、セクシーなのにプラトニック、プラトニックなのにセクシーな女性関係。森田節満開、全開。ご陽気でご機嫌な松坂慶子はもしかしてこれがベストアクトか。
エンドクレジットの最後の最後、こんな楽しい映画に涙でお別れしなければならない。合掌。


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