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「スーパーチューズデー〜正義を売った日〜」監督ジョージ・クルーニー at 神戸国際松竹

ジョージ・クルーニー監督4作目。
EPにレオナルド・ディカプリオがクレジットされている。原題は"The Ides Of March"、Idesを辞書でひくと「古代ローマ暦:3、5、7月の15日。その他の月の13日」とのこと。つまり「3月15日」ということで、これは邦題の方が分り易かろう。
限りなく現代に近いアメリカ合衆国大統領選挙民主党候補を決める選挙を描く。舞台はオハイオ州州知事モリス(ジョージ・クルーニー)は無神論を掲げ、中絶容認、同性婚容認というスタンス。当然ながらキリスト教原理主義、右派保守層からの票は取り込めない。代議員票を取りまとめる代わりに当選後のポストを要求するトンプソンなる議員とも組まないクリーンぶりだ。が、大変なのは裏方。選挙参謀ポール(フィリップ・シーモア・ホフマン)は海千山千の選挙プロ。清濁併せ呑む手筈を整えて行く。そしてその部下、スティーブン(ライアン・ゴスリング)が本編の主人公。野心と純真が同居した男が、敵陣営から手を突っ込まれ、ある女にひっかかったことから泥まみれになって行く…というお話し。スティーブン君の脇の甘さがリアルで、決してシャープなスーパーヒーローではないし、周りの人間もモリス候補を含め、俗物だらけ。選挙という権力闘争の、「失敗したら即脱落」の世界の人間臭さをクルーニーは綺麗ごと一切抜きで描く。
どうしてもキリスト教的価値観を判断基準にせずにはいられないアメリカの選挙の「幼さ」「未熟さ」。いやが応にも思い出すのが「候補者ビル・マッケイ」('72)。あの時代からアメリカの選挙は変わっていないことが良く解る。翻って我が国のドブ板バラマキ選挙も目くそ鼻くそなのだが。「『アメとムチ』じゃない、『アメとアメ』だ」という台詞(邦訳)は秀逸。
我が国の民主党小沢一郎氏や飯島某氏にだふって見えたフィリップ・シーモア・ホフマン、こういう役を掴んでものする嗅覚と才覚には畏敬する。この人が出ている映画に外れなし。というわけで佳作、お勧め。

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