映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「アーティスト」監督ミシェル・アザナヴィシウス at TOHOシネマズ西宮OS

今年のオスカー5冠。
モノクロ、サイレント、単純極まりないシナリオ、戦前のハリウッドを描いた無名フランス人スタッフ&キャスト、という意表を突きまくった仕掛けにハリウッド族は酔ったのか。
決してノスタルジーを喚起することもなく、むしろピカピカ、キラキラしたデジタルなルック。キネマ旬報4月下旬号のアザナヴィシウス監督と芝山幹郎氏の対談を読むと、監督は古いサイレント作品からトーキー初期の作品まで相当勉強したようだが、映像感覚としてそれが血肉化しているかというと疑問符が付く。
そう、この手のクラシック感覚ということならウディ・アレンという現役の巨星がいることを我々は知っている。「カイロの紫のバラ」('87)、「ギター弾きの恋」('99)…やっぱり感覚がホンモノなんだなアレン先生の方が。悲しいかなこれは映画に於ける「育ち」「お里」の違いだ。
'70年代悪役で活躍したエド・ローターがちらっと出て来て嬉しかった。72歳か。今年82歳でオスカー穫ったクリストファー・プラマーに比べると地味な存在だけど、いつかそんな日が来れば良いなとハリウッドから遠く離れた極東の島国から心密かに願っている。



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