秀作「ぼくのエリ 200歳の少女」('08)のトーマス・アルフレッドソン監督最新作。
原作はジョン・ル・カレで1975年の作。英国で'79年にテレビシリーズ化されているらしい。余談だがル・カレ先生、80歳現役なんですね。
舞台は1973年、英国諜報部暗証名「サーカス」のあるミッションから始まる。
共産政権下のハンガリー、ブダペストに潜入したエージェントは作戦に失敗、ミッションを発したサーカスの部長コントロール(ジョン・ハート)は責任を問われ、部下スマイリー(ゲーリー・オールドマン)もろともリストラされてしまう。翌年、コントロールに代わってのし上がって来た4人組の1人パーシー(トビー・ジョーンズ)は、リストラしたスマイリーを召還、「サーカス」内部にいるソ連の二重スパイの洗い出しを命じる。スマイリーは新たな部下と共に捜査に当るが、ブダペストで死んだ筈のエージェントの口座に金が振り込まれていることが分る。そしてトルコに潜入している筈のター(トム・ハーディ)がスマイリーの家に現れ、事態は急変する…というお話し。
何より'70年代冷戦下の世界観を実に凝ったディティールとルックで再現していて素晴らしい。
即座に「エスピオナージ」('73)を思い出した。
人物関係は複雑で、それ故か「サーカス」のメンバーは割と大声で名前を呼び合う演出。そうでもしないとやや混乱すると判断したか。
とまれ、オールドマンの鉄仮面ぶり、相変わらず惚れ惚れするほど名演のコリン・ファース、同じくマーク・ストロングと俳優は皆一流。ネタバレにならないよういくつかの要点は伏せるがラスト近くのオーストリア人を巡るスマイリーの台詞、そしてトレーラーハウスの中のスミノフの瓶の演出にはニヤリ。
劇場ポスターには二度観て下さいと言わんばかりのコピーが。確かに二度観ると良く解る部分もあるだろうが、一所懸命に記憶の録画を巻き戻しながらの鑑賞もサスペンス・スリラーならでは。佳作、お勧め。
- アーティスト:エンニオ・モリコーネ
- 発売日: 2003/04/25
- メディア: DVD