映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

「父の初七日」監督・王育鱗&劉梓潔 at 宝塚シネ・ピピア

 台湾、彰化縣というところが舞台。地図によると台湾の西海岸中部にある地方都市だ。その町でカラオケCDを夜店の露天で売っているおっさん(太保)が突然の病に斃れる。台北で働く長女・アメイ(王莉雯)が帰省、父と同じ露天商の長男や従兄弟が遺体を囲む。アメイの叔父、阿義(呉朋奉)が伝統に則った葬儀を取り仕切る。彼は道教の道士でもあるのだ。まずは占いにて葬儀の日程を決め、それまでは遺体を寝ずの番で紙銭と呼ばれる札を焼き続けなければならない。アメイ達は休む間もなく、考える暇もなく葬儀に従事する…というお話し。
 台湾版「お葬式」なのだが驚嘆の儀式の数々である。邦題は「…初七日」とあるが日本的な意味での初七日とはちょっと意味合いが違うようだ。遺体や祭壇にすがって泣くタイミングが決められているおかしさ、真面目な顔をしつつどこか楽しそうな周囲の人々。道士でありそして詩人でもある叔父さんの繰り出す作法の面白さ。普通語、台湾語、そしてハッパをかける時は日本語。
映画全体を暢気な空気が覆っていて台湾の田舎町の素朴さがたまらなく心地よい。亡くなった父親も威厳など微塵もなくのほほんと好きなことをして、娘を愛して死んで行った、という感じ。
 恐らく低予算デジタルビデオ撮影なのだろう、しかしそのチープさも味わいになっている。梶芽衣子「恨み節」をバックに展開される叔父さんの回想シーン、ヒドいけど可笑しい。ハリウッドCG大会よりよっぽどしっくりくる、心和む佳作、お勧め。

父の初七日 [DVD]

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