映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ラム・ダイアリー」監督ブルース・ロビンソン at TOHOシネマズ西宮OS

ハンター・S・トンプソンの自伝的小説の映画化。プロデューサー兼任の主演ジョニー・デップは長年トンプソン氏の小説のファンでプライベートでも慕っていたそうである。猶トンプソン氏は2005年に拳銃自殺した。
1960年のプエルトリコ。NYから求人広告を頼りに流れ着いた「小説の書けない小説家」ポール(ジョニー・デップ)は潰れそうな三流新聞社に就職する。斡旋された宿舎にはヤク中アル中の自堕落な記者仲間がいて同居するはめに。任された記事は毎日の星占い。しかしポールはこの国がアメリカ資本の属国として環境汚染や鉱物利権の餌食にされていることをほどなく知る。しかしそれを書かせてくれる新聞社ではなかった。利権屋サンダーソン(アーロン・エッカート)にリゾート開発の「甘い汁」を持ちかけられたポールだが、もっぱら興味はサンダーソンの婚約者シュノー(アンバー・ハード)に向けられる…というお話し。
ジョニー・デップ氏、ティム・バートン作品での極端なキャラクターやら海賊やらは「お仕事」のようで、こちらは何ぶん彼の趣味性の強いつくりとなっている。何せ憧れの人を演じる訳だから「張り切って」だらだらと優柔不断を押し通して行く。
ハンター・S・トンプソンについて予習でもしなければバックボーンが全く描かれないので行動の理由が掴みづらい。
プエルトリコがアメリカに蹂躙されていることを告発するでなく、仲間の記者達との与太が続くので、長さ的にややしんどい。反面凝ったキャメラワークでカッコ良く見せてくれるシュノーとのロマンスは中途半端。誰も傷つかず、傷つけず、解決せず颯爽とボートで去って行かれてもなぁ。ジョニー・デップ氏の文学趣味だけは良く分ったという感じか。


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