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「ローマでアモーレ」監督ウディ・アレン at シネリーブル神戸

つくり続けるウディ・アレン、今回は舞台をローマに移した。
恐らくはここローマで撮る、観光的要素も織り込んでということで製作資金が投下されたものと想像される。
で、内容はグランドホテル形式の軽いコメディ。観光で来たアメリカ人女性が道案内の青年と恋に落ちて結婚を決意、NYからやって来た両親(父親はアレン自身が演じる)と新婦の両親の出会い、田舎から出て来た新婚夫婦と「間違い」で知り合う娼婦、アメリカから来た男1人女2人の三角関係、地元の平凡なサラリーマン家庭…この4つのエピソードが同時進行する。どこかでクロスするかと思いきや最後までそれはない。
娼婦(ペネロペ・クルス)が何故間違って新郎の部屋に入ったのかは分らず、さらにはそのまま新郎の親戚と移動するハメになる。そんな安易なシナリオ…と訝ったがすぐに合点が行く。この4つのエピソード、途中から幻想と妄想の世界に入って行くのだ。「カイロの紫のバラ」('85)以来の彼のテなのだがここにイタリア映画愛というかアントニオーニ(不条理)とフェリーニ(幻想、文明批判)が入っている感じ。更にはカトリックのお膝元へのイヤミにならない皮肉もエッセンス。
ペネロペ・クルスビットリオ・デ・シーカの映画に出て来るソフィア・ローレンだろうな。そんな風に楽しめばかつてほどのキレのないギャグや編集(アレンにしては長い111分)に目くじらを立てる気にもなれず。

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