映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「終戦のエンペラー」監督ピーター・ウェーバー at TOHOシネマズ西宮OS

岡本嗣郎著「陛下をお救いなさいまし」が原作。本編で故夏八木勲が演じている宮内次官、関屋貞三郎の孫がプロデューサー奈良橋陽子という縁とのこと。
広島の原爆投下がオープニングで日本敗戦、マッカーサー(トミー・リー・ジョーンズ)達GHQ一行が厚木飛行場に降り立つ。皇居前GHQ本部、当時の東京の風景がCGで描かれる。オープンセットはニュージーランドに建てたのだそう。主人公はマッカーサーではなく、その秘書官だったフェラーズ准将(マシュー・フォックス)。政治的配慮で天皇免責を目論むマッカーサーに対し、天皇戦犯説を主張するも、戦前に知り合った恋人とその家族を尋ねる過程で主張を変化させていく。
日本人プロデューサーでハリウッドスタッフ、監督は英国人というバランスが巧く機能している。脚本に日本人の名前が無いが日米双方で精査吟味していることは一目瞭然。関屋の詠う昭和天皇の御製に不覚にも感動、夏八木勲の一世一代の名演だろう。木戸幸一内大臣役の伊武雅刀も鬼気迫る。これらは最大限彼等の演技を尊重したものだろう。昭和天皇役、片岡孝太郎「太陽の帝国」('87)の特攻少年が演じる数奇。
こんなことがありました、という戦後秘話ダイジェストに陥らず、それぞれの人物を俳優達の名演によって人間の息づかいを感じさせる造形になっていて見事。


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