映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「台湾アイデンティティー」監督・酒井充子 at 十第七藝術劇場

「台湾人生」('09)では日本統治時代を過ごした台湾人の誇りと、その後の人生の流転が描かれたが本作はその日本統治時代直後の台湾史の暗部、その地獄のような時代を各人が吐露する内容。どの方の80歳を越え、かくしゃくとしていらっしゃり、今の日本の若年層より数段美しい日本語を話す。訥々と語る内容は壮絶だ。どなたも「非情城市」('89)で描かれた二二八事件の直接的あるいは間接的な犠牲者であり、特に父親を殺されたツオウ族の女性の告白は悲痛の限り。後に歌手として人気が出たあと、国民党軍人に聞いた父親の末期の様子の言葉は衝撃。彼女に音楽を教えた優しい父の墓に参る親族、好きだったというベートーベンの第五のCDを持って来るのを忘れた息子のおっちょこちょいぶりに笑わされた後目にする墓碑に刻まれた「有恨・無悔」の文字。
そして宮原永治(ウマル・ハルトノ)さんが語るこのエピソード
「知らぬは恥」とはこのこと。お勧め。


台湾人生 [DVD]

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