映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ブリングリング」監督ソフィア・コッポラ at 神戸国際松竹

IMDbで検索すると同名のTV映画が先に2011年につくられており、米国内に於いては衝撃の事件だったことが伺える実話の映画化。
ブロデュースはソフィア監督のお父ちゃんとお兄ちゃんというMade In Coppola。冒頭、本作の撮影監督であるハリス・サヴィデスに捧ぐ、とクレジットされるがサヴィデスはこの映画の完成を待たずに死去。
一貫して「置き去りにされたわたしの時間潰し」を描いて来たソフィア監督、前作「SOMEWHERE」('10)はネタ切れ感ありのダメダメだったが、頑固ですねぇこの方、今回もまた退屈しのぎとしての泥棒を描く。ティーンエイジが主人公でセックスはほとんど描かれないのにインモラル。セレブセレブと言われるが、それは彼らにとってのセレブでB級セレブ、ほんもののハイソサエティには彼らの知性では踏み込めない。悪知恵は働くが根は幼稚でノータリンな加害者と被害者とされる著名人達の無防備と悪趣味(コカイン隠してるヒトもいるし)は実は等価であり、加害者の親達の俗物ぶり異常ぶりと、著名人達が必ず一人暮らしであるという「家族の不在」もまた等価である。
この等価にあぐらをかいて開き直る加害者ガキ達、不快ながら何も米国西海岸だけの特殊な事件と思えないところが深刻。ラストの決め台詞は良い意味で笑えない。この映画を観た我が国の映画館でも上映中しゃべり続ける、映画の登場人物達と等価なノータリンがうじゃうじゃ。


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