1976年当時のF1グランプリレースを舞台に、オーストリア人ドライバー、ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)と英国人ドライバー、ジェームズ・ハント(クリス・ヘムズワース)の熾烈なライバル競争を描く。ほぼ史実通りなのだと想像され、クルマと一体化しているかのようなニキのストイックぶりと、それとは正反対なワイルドな享楽主義者ジェームズの対比。望遠のアップと胃カメラ並みの小型レンズによる蛇の目のようなフレーミング、あらゆるところに仕掛けられた無数のキャメラが捉えるレースシーンは鳥肌が立つほどに素晴らしい。恐らく1976年当時のフッテージもリマスタリングしてはめ込まれているのであろう、ルック全体の統一感が時代性を忠実に醸し出している。
事実をなぞる話しが単純な分、爆音と映像のスピード感とシズル感で徹頭徹尾走り抜け、ラストに至って始めて映画らしい芝居場を設けている構成も見事。
恍惚の域に達する初めての映像体験、劇場で観ないと意味なし。佳作、お勧め。
MBS企画で会議。