映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

「ブルージャスミン」監督ウディ・アレン at シネリーブル神戸

主演のケイト・ブランシェットは本作で本年のオスカー主演女優賞を受賞。それも宜なるかなほぼ独壇場かつハイレベルな演技力で圧倒する。虚栄心にまみれ、里子育ちと低学歴のコンプレックスを押し殺す為に安定剤をウォッカで胃に流し込む。血のつながらない妹を馬鹿にしながらも経済的にも精神的にも頼らざるを得ない凡庸。ウディ・アレンは、かつての「アリス」('90) のようなアッパーの孤独感と心の渇きを魔法で癒すようなことを今回はせず、ブランシェットをとことん凡庸な人として墜落させて行く。嘗ては宗教的価値観と現実の煩悩のギャップをおもしろ可笑しく描いて来た彼も、どうやら現代アメリカの倫理観には相当腹を立てていると見た。翻ってこの映画に登場する人々の凡人ぶりと格差社会はそっくり我が国にも当てはまるし、倫理も知性も崩壊している様は全く同じ、戦後アメリカの後追いをして来た成れの果てかも知れない。秀逸な脚本だが編集はもう一息、ブランシェットの独壇場を切るに切れなかったか。
とまれ、佳作、お勧め。