映画和日乗

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「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ at 塚口サンサン劇場

本年オスカー4冠。
ブロードウェイのバックステージものは、コメディから「オール・ザット・ジャズ」('80)のような幻覚と狂気の世界まで数あれどどれもがそこが生き馬の目を抜く競争社会であることは共通して描かれている。
バードマンことマイケル・キートンは自身が「バットマン」シリーズでバットマンを演じていた事と重なる、もう旬を過ぎた映画俳優で、彼が再起をかけてこの舞台に上がる内幕が描かれるのが本作。バードマンの操る超能力が幻覚というよりは彼の観念の所産のように描かれ、ブツブツと自身の内面と対話するもう一人の自分の声に苛まれる。この不安に押しつぶされそうな俳優の3日間を1日1シーン1カットで描いている。演劇のバックステージを描きながら、1シーン1カットの膨大な仕掛けと俳優の労力を感じさせる映画製作のバックステージを想像させる仕掛けにもなっており、試されているのは俳優マイケル・キートンそのものでもあるのだ。
しかし、こういうつくりの映画でいつも思う事だが、「完璧に仕掛けた」「一体どうやって撮ったの?」的超人的映画テクニックの披露に過ぎない「顕示欲」に、運動会ご苦労様でした、としか感じないのは私だけだろうか。


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