映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」監督ビル・ポーラッド at シネリーブル神戸

プロデューサーとしての仕事が多いポーラッド監督が描くビーチ・ボーイズの中核メンバー、ブライアン・ウィルソンの一代記。
1960年代から'80年代へ、時代を行きつ戻りつする構成だが、その時代のディティールを疎かにせず、恐らくはその筋の音楽マニアをも満足させるであろう凝りようだ。キネマ旬報8月上旬号の特集記事を読むとその点が証明されている。ビーチ・ボーイズのもつ、エヴァーグリーンな青春の輝きは、押しつぶされそうなほど過酷なプレッシャーに必死で抗いながらつくられていたことがよく分かる。
徹底して事実の羅列に拘るあまり、展開がやや平板になっているが、後半、ブライアン・ウィルソンの再生へと至る過程はその繊細で力強いLoveとMercy=慈悲に涙無くして見られない。
若い世代には予備知識が要るであろう、我々から上の世代は時代の記憶を辿る旅に酔える。


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