映画和日乗

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「アイヒマンショー 歴史を映した男たち」監督ポール・アンドリュー・ウィリアムズ at テアトル梅田

羽田空港よりNH23便で伊丹空港着。

スペシャリスト 自覚なき殺戮者」('99)という冷徹にアイヒマンを見つめたドキュメンタリーがあったが、あの裁判フィルムを撮った側を描く。
スペシャリスト」の元となったフッテージを撮ったスタッフと本作の中で描かれる撮影スタッフはどうやら同一らしい。その監督たるレオ・フルヴィッツ(演じるのはアンソニー・ラパリア)という実在の人物に焦点を当てている。
勇気ある企画だと思う。何せ裁判の実際のフィルムは既に「スペシャリスト」で鑑賞済み、それを今一度ドラマ部分を組み合わせるという、一歩間違うとリアリズムを破壊しかねない選択である。実際、細心の注意を払って「再現」に努めているが、それでも観る側が慄然とする瞬間は絶滅収容所の生存者や、処刑されたにも関わらず弾の当たりどころのおかげで生き残った人の証言の言葉の数々である。それは「スペシャリスト」と変わらない。撮った側のドラマはそれに比してさほどドラマティックでもない。プロデューサーと監督の対立なんて日常茶飯事だ。だからこの映画が駄目ということではないが。


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