映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「64 ロクヨン」前編 監督・瀬々敬久 at TOHOシネマズ渋谷

原作は未読。各映画専門誌によると、本編は原作とは多少違う展開のようだ。それはともかく、佐藤浩市が尋常ではないパワーで引っ張って行く。未解決事件の担当刑事、しかも捜査ミス、左遷、家庭不和。加えて無理解な上司の理不尽な命令、責め立てて来る記者クラブ、「梯子を外す」同僚。両肩と五臓六腑にのしかかるストレスを背負って、それでも耐える。戦うヒーローは数あれど2時間全編耐え続けるヒーローは稀有だろう。警察官の破廉恥罪も、あながち阿呆か、では片付けられないほどの組織の歪みっぷり。横山秀夫(原作)の日本型組織を描く巧さはいかんなく発揮されている。
引きこもりの元科捜研、付け髭メイクがイマイチ。それと記者クラブの記者たちが若手ばかりで張り手一方なのも気になった。ベテランの腹芸タヌキ記者が一人いてもいいのに。だから佐藤浩市の情のパワーに気功の如くあっけなく吹っ飛ばされる。
とまれ、後編に期待膨らむ。