映画和日乗

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「アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲」監督クロード・ルルーシュ at シネリーブル神戸

1966年の永遠の名作「男と女」以降、営々と、そして延々と自己模倣を続ける稀有な映画監督クロード・ルルーシュの例によっての自己模倣。原題タイトル"UN+UNE"からして恥も外聞もない。
流麗なカメラワーク、と形容されることの多いルルーシュだが、天使が微笑んだ「男と女」以外この人のルックはどれもこれも良くない。おそらくは監督が画角をいじるからであろう、唯一の成功体験が仇となっている。
話は書くのも憚れる陳腐さ、どうでもいい。
延々続くダイアローグも芸のない切り返し、リチャード・リンクレーターのそれに比べるべくもない。
キャストはアヌーク・エーメ&ジャン・ルイ・トランティニャンに遠く及ばない魅力薄(俳優のせいではない)、フランス語の巧さだけ買われたか何でここに悪役顔のクリストファー・ランバートが、というのも首を傾げざるを得ない。劇中の映画「ジュリエットとロミオ」もどこがアカデミー賞監督の作で、どこが入国管理官もうっとりの名音楽なのか、ほとほと陳腐。
毎度ながらルルーシュの昔取った杵柄癖って、始末に負えんね。