崔銀姫と申相玉監督の北朝鮮誘拐事件は世代的に記憶としてはっきりあり、幾つかの資料も読んでいたので何らかの知らない事実があれば、と期待したがさほどでもなかった。北朝鮮の醜悪な全体主義を象徴する映像の羅列は我々日本人にはむしろ既出の「見慣れた」映像である。
映画は崔氏のインタビューが中心で、てっきり夫婦だと思っていたら申監督の浮気が原因で離婚していたのは知らなかった。つまり元夫婦として拉致された訳だが、申監督の拉致された手順は本人が亡くなっていることもあり曖昧なままだ。金正日の隠し録りされた肉声、申監督の流暢な日本語は興味深い。
ラストに短くダイジェストで紹介される、金正日肝いりの「タイタニック」北朝鮮版を観てみたい。