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映画途中でキューバ危機のニュースがラジオから流れるから1962年の設定か。つまりこの時代前後のアメリカ映画を中心としたカルチャーを愛でるかのようにギシェルモ・デル・トロ監督の徹底して好きなもの、好きなことを描いている。
嘗て、キャンペーンで東京を訪れたデル・トロ監督が「デブのオタクには天国だ」とテレビで語っていたのを思い出す、疎外感やコンプレックスを抱えた、それでいて好きなことを譲らず生きている登場人物達。聾唖、ゲイ、黒人(差別)。そして人間でも魚でもない、囚われた半魚人。敵役の宇宙センターの役人でさえ、朝鮮戦争時代の失敗を上司に持ち出されて苦悩している。そんな彼らの相互補助、助け合いと思いやり。大嘘のファンタジーでしか包括し得なかった、この健気さに心震える。
繊細な芸術を傷つける映倫の相変わらずなマスキングには反吐が出る思いだ。現職総理がこの醜悪な国の醜悪な刑法175条を撤廃してくれたら私は即座に支持に転じても良いくらいだ。とまれ、佳作、お勧め。